ジュンサイ栽培勉強会開催

 以前、出来島大堤地区における環境公共推進協議会の生き物調査と、地域の方々による階段づくりの状況をお知らせしましたが、今回は、当協議会による新たな取組をお知らせします。
 
 本地区では、今年度、ため池の浚渫工事が予定されていることから、環境公共推進協議会では、工事が始まる前に、ため池に自生している「ジュンサイ」の移植作業を行うことにしました。
 「ジュンサイ」は、日本各地のため池などに自生している水生植物で、若芽の部分が酢の物や味噌汁などの日本料理として食されます。
 最近は水質の悪化などによって、絶滅している地域もあるそうです。
 出来島大堤ため池では、元々、ため池全面に「ジュンサイ」が密生していましたが、近年、土砂が堆積し、水深が浅くなったことから、「ジュンサイ」の生育が不良となり、生育面積が減少している傾向にありました。
 
 ため池の全景です。
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 土砂が堆積し、水際に「ジュンサイ」が生えなくなりました。
 
 真ん中の楕円の葉っぱが「ジュンサイ」です。
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 このため、地元の方々は、「ため池のジュンサイが消えては困る」との思いから、移植作業を行い、以前のため池の姿に復元することにしました。
 協議会では早速、移植の準備に取りかかりました。
 ところが、協議会の中に、移植の方法を知っている人がいなかったため、県の農業普及振興室に相談したり、文献などを色々調べましたが、栽培の指針となるものが無いことが分かりました。
 そのため、実際に「ジュンサイ」を栽培している農家に話を聞くことにしました。
 地元、つがる市役所から、長年にわたり「ジュンサイ」を栽培している、つがる市木造平滝の中村邦臣氏(JAごしょつがる常務理事)を紹介していただきました。
 
 そして、去る7月20日、中村氏を講師とした勉強会が開催されました。
 当日は強風の中、協議会の会員など、計13名が中村氏のジュンサイ栽培池において、栽培方法や管理の仕方、収穫方法について説明を受けました。
 
 説明する講師の中村さんです。
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ジュンサイ」栽培の要点は以下のとおりです。
1.栽培池の準備
 ①水深は70~120cm(平均100cm)とする。
 ②根付かせるためには、泥土の厚さが30cmは必要。
 ③肥料、農薬は使用しない。
2.植え付け方法
 ①自生している根を掘り出す。
 ②根は長いもので1m以上あるので2節から3節に切断する。
 ③植え付け時期は根が休眠となる10月~11月中旬までに行う。
 ④植え付け幅は70cm間隔とする。
 ⑤植え付けが終わったらできるだけ浅水にしておく。(30cm位)
 ⑥冬期間は1m以上の深水で管理する。
3.管理方法
 ①年2~3回、雑草取りを行う。
4.収穫方法
 ①秋に植え付けしたものは、翌々年の7月に収穫できる。
 ②収穫は手で行い、カマは使わない。
 
 中村氏のジュンサイ栽培池です。
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 生育を良くするために、適度に光が差し込むように、間引きされています。
 
 熱心に説明を聞く協議会のメンバーのみなさんです。
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~11月の移植栽培に向けて~
 勉強会の最後に、中村氏から、「ジュンサイはきれいな水でないと生育できない。自分のジュンサイ栽培池では、春に他の農家が水田に農薬を散布する前に用水路から水を取り入れている。少しでも農薬が入るとジュンサイが育たない。水管理にはかなり気を遣っている。」と指導がありました。
 今回の勉強会では「ジュンサイ」が水質にとても敏感な植物であることが分かりました。
 協議会では、ため池の泥土の必要性、ため池の水深の変化への対応について、11月までに検討しながら準備を進めていく予定です。
 11月に予定している移植作業には、講師を務めた中村氏も駆け付けて指導してくれることになりました。
 
 出来島大堤地区環境公共推進協議会の、ため池で「ジュンサイ」を栽培する取組は、まだまだ続きます。
 
 ~最後に~
 講師を務めた中村氏手造りのボートです。このボートで作業を行います。
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 協議会では、このボートを参考に、ボート製作と桟橋設置を行うことを急きょ決定しました。
 
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