ウニ殻を海藻の肥料に

 海中で海藻の茂っている藻場は、魚の産卵場や稚魚の隠れ場、魚やウニ、アワビ等の餌場となるほか、窒素、リンなどの栄養塩を吸収するなど水質浄化機能を有し、良好な水産環境を維持する上で重要な役割を果たしています。また、近年はCO2の吸収源としての役割が注目されています。
 しかし、藻場の分布や繁茂状況には偏りがあるほか、一部の藻場においては、ウニの食害により海藻が著しく減少・消失し、海藻が繁茂しなくなる状況となっています。
 このため県では、ウニの身を取った後に廃棄されるウニ殻を海藻の肥料として利用することで、海藻の生育を促進させる効果の実証試験を令和4〜5年度に、東通村岩屋地区で実施しています。
 今年度は、乾燥したウニ殻を破砕し、モルタルで固めた基質を海底に設置し、ウニ殻基質から溶け出した、窒素、リン等の栄養分が周囲の海藻の生育を促進させる効果を検証しています。
 来年度は、今年度設置した基質をモニタリングするとともに、漁業者でも製作しやすい基質の作り方などを検討し、漁業者自らがウニ殻基質を製作・活用できるようにマニュアルの作成や効果検証結果の周知に取り組むこととしています。

位置図

海藻を食いつくすウニ

乾燥したウニ殻

ウニ殻を破砕し、モルタルと混合

ウニ殻入り供試体

既設ブロックわきに設置