「後潟水土里ふれあいの旅2016」

平成28629()に、水土里ネット青森北部と水土里ネット青森第二北部が、青森市後潟小学校の5年生(10)を対象に、野外学習「後潟水土里ふれあいの旅2016」を開催しました。

この野外学習は平成16年度から毎年行われ、農業用水の水源地である山林から水田までの一連の農業用水の流れを学習しながら、農業水利施設を見学し、施設の役割を理解してもらうとともに、施設付近に棲む生き物観察や農業用水の水質調査をするなど地域の農業、農村環境について総合学習できる内容となっています。

まずは後潟小学校で出発式を行い、集合写真を撮りました。これから始まる旅に小
学生のみなさんはワクワクを隠しきれない様子でした。出発式が終わり、バスに乗り込み、校長先生に見送られながら小学校を後にしました。

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     【出発式にて一枚パシャリ】

最初の目的地は山城ため池です。
山城ため池では水土里ネット青森北部の相馬理事によるため池の歴史や洪水吐等の施設説明のほか、当県民局の職員が水循環について説明を行いました。説明をしている中で、「地球で私達が使える水は何%でしょうか?」という難しい質問に対しても、0.03%!」と非常に近い答えがでて周囲を驚かせました。(正解は0.01%です。)
私達が生きていく上で必要不可欠な水への関心の高さがうかがえました。

説明が終わった後は、水土里ネット青森第二北部の工藤事務局長と環境公共プロフェッショナルである青森市の工藤次長によるため池の水質調査と生き物観察が行われました。水質調査ではパックテスト等を用いて水温、透明度、pHCOD4つの項目を調査しました。
みなさんパックテストと比色表を何度も見比べて、値がどのくらいか話し合いながら決めて
いました。

生き物観察では水槽に入ったたくさんの生き物に興味津々で、事前に配布されたポケット図鑑でひとつひとつ名前を調べていました。水槽の中にはゲンゴロウやメダカ、ドジョウなど、近年ではあまり見なくなった生き物もいて、子供たちだけでなく大人たちも目を輝かせていました。

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  【ポケット図鑑で一生懸命探しています】


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   【ため池の水質調査の様子】

次の目的地は後潟川頭首工です。
ここでは水土里ネット青森北部の坂本会計主任による頭首工の施設説明、操作体験のほかに水質調査と生き物観察を行いました。「学校田の水はこの頭首工から届いています」という説明を受けたみなさんは、「こんな遠いところから水が流れてきているんだ」と驚いていました。
説明を聞いた後の頭首工のゲート操作では更に驚くことがありました。クラスの代表2名が頭首工の施設に残り、ほかの子はゲート前の橋に移動しました。代表の子はゲートの操作盤について説明を受けた後、ゲートを上げるボタンを押すと、その瞬間、モーターが回りはじめ、轟音が施設に響き渡りました。轟音に驚いていると、ゲートから大量の水が川に放流され、そのすごい勢いに歓声があがりました。普段はあまり見ることのできない水の荒々しい一面も目の当たりにして、水への危険意識も学べたのではないでしょうか。

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    【頭首工ゲート オープン!】


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     【穏やかな川が激流に!】

頭首工での生き物観察では、水槽にイ。ワナやモクズガニ入っていて、みなさんモクズガニを触って色んな角度から観察していました。イワナにも触ろうとしましたが、「イワナは冷たい水で生息する魚なので、私達人間が触ると火傷してしまい弱ってしまう。」という工藤次長の説明を受けて、みなさんは水槽の中から手を出しました。

触るだけで傷ついてしまう生き物がいることを知り、先ほどまで触っていたモクズガニは傷ついていないか心配していましたが、モクズガニは触れても心配はいらないとの説明を受け、みなさんホッとした様子でした。

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  【モクズガニを楽しんで観察しています】

頭首工での水質調査や生き物観察を終え、次に第一分水工へ向かいました。
ここでは水土里ネット青森北部の工藤理事長による施設説明と水争いの歴史についてお話がありました。「昔は今のように食べ物に余裕がなく、ダムやため池などもあまり整備されていなかったため、水は今以上に重要なものだった。そのため、水を巡って数々の争いが全国各地で起こっていたけれど、この後潟地区の水争いの歴史は特になく、平和なものだった。」という説明を受けて、みなさんは、安堵の表情を浮かべていました。


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 【緊張した様子で水争いの話を聞く子供たち】

分水工で説明を受けた後は、水田の小用水路に移動し、本学習会で一番盛り上がるといわれるアヒル人形レースが行われました。レース距離は900mで、アヒル人形には各自が施したペイントがされており、個性あふれる作品になっていました。
みなさんアヒル人形に闘志を込めて優勝祈願をし、スタート位置につきました。
「よーい、ドン!」の合図にあわせてレースが始まりました。スタートからゴールまでの間、「いけー!追い越せ-!ここで追い越さないでどうするんだー!」と、アヒル人形と併走しながら檄を飛ばし続けました。用水路の流速は場所によって速かったり遅かったりと変化があり、順位の変動が激しく一筋縄ではいきません。
スタートから白熱していたレースも終盤を迎えると、今まで以上に声援が激しくなっていましたが、最後まで精いっぱい応援するみなさんの体力には驚かさればかりです。
1位になった子はとても嬉しそうに飛び跳ねており、他のみなさんは悔しそうに「もう一回やりたい!」とリベンジに燃えていました。

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  【開始前から闘志がみなぎっています!】

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     【ゴールする瞬間です!】

ヒル人形レース終了後は小学校に戻り、解散式を行いました。
解散式では水土里ネット青森第二北部の菊池理事長による主催者挨拶のほか、代表の4人が、「水や生き物を大切にしたいと思いました」
「アヒルレースがとても楽しかったのでまたやりたいです。」
「頭首工の水がとてもきれいでした。きれいな水で米ができていることを知れてよかったです。」
後潟がこんなにも自然に囲まれていることを知り、大切にしたいと思いました。」
と感想を発表してくれました。

解散式が終わると同時にチャイムも鳴り、本学習会は終了となりました。
普段目にしている身近な水田ですが、どこから水が流れてきて、そこにどんな生き物が棲んでいるのかを知ることで、水が大切である理由や、自分たちが住んでいる地域の自然の豊かさについて学べたのではないかと思います。

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     【解散式の主催者挨拶】

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     【感想をみんなの前で発表!】

今回の活動で使用した水質調査キット、移動用バスの借上げは「中山間ふるさと・水と土保全対策事業」により水土里ネット青森北部、水土里ネット青森第二北部に支援したものです。
青森県では、中山間地域等の農村において、地域の活性化のために活動している団体に対し、その活動に必要な物資の提供等を行っています。
今後も、地域で行われている「ふるさとづくり」を支援していくこととしています。

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