会場には、県内の電気や建設関連の企業、金融機関、自治体など、小水力の導入に興味をもった方々およそ100名が詰めかけました。
イベントの冒頭、全国小水力利用推進協議会の前田理事さんより、「地域の力で拡がる小水力発電」と題した講演がありました。
また、「青森県には水力資源の導入ポテンシャルとしては十分な余地がある。今後、小水力発電を推進していくためには、県内企業による取組が必要不可欠だ。県外企業が青森県で風力発電施設を増設しているが、施設は県外から搬入されたものであり、固定価格買取制度により売電された金は地元にはほとんど落ちない仕組みが問題」と指摘しておりました。デンマークでは、固定価格買取制度を利用して小水力発電に取り組む農家が数多くいるのだそうです。
前田理事は、さらに、「小水力発電施設導入に当たっては、IRR(投資に対する利益率 Internal Rate of Returnの略)の設定が重要。小水力発電の目的と理念を明確にすること」と提言しました。大変に参考となる講演でした。
星野参事は、「米と電気は自分でつくりたい。そして安全・安心な再生可能エネルギーの導入が必要」と述べておりました。
県内の小水力発電の取組事例として、2事例が紹介されました。
1件は、水土里ネット青森の取組です。
紹介しているのは、水土里ネット青森農村企画部の渋谷部長さんです。
水土里ネット青森では、平成23年度に国の補助事業を活用して、全国初の試みとして、ため池の底樋を利用した小水力発電施設の開発に取り組みました。
発電使用水量0.4m3/毎秒、有効落差5メートルで、年間約26,000kwhの電気を発電します。これはドラム缶およそ34本分の原油削減にあたる量となっているそうです。
水土里ネット青森では、平成24年度にも、農業用水路の落差を活用した小水力発電施設を設置し、今後は、農業用ハウスへの熱源としての活用や、農業農村活性化施設への電力供給なども検討しているそうです。
これまで、利用されることなく排水されていたトンネルの湧水を無償で使用できることとなり、2年前に設置されたものです。
海底のトンネルから、毎秒0.27m3もの水が排水され、それを有効に発電し、町が運営するオートキャンプ場の電気として利用しているそうです。
トンネルからの湧水は年間を通じ、天候に左右されることなく安定的に排出されるそうです。
いずれの発電施設も、様々な施設の維持管理費軽減などにつながることが期待されます。
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