2月20日、青森県では、「環境公共」の推進に寄与する様々な“新技術”を、地域共同による農地・農業用施設等の保全や、地域環境の保全・向上活動に取り組んでいる活動組織へ普及するための研修会を開催しました。
研修会には、県内各地の活動組織から約300名が参加しました。
研修会では、島守田園空間博物館運営協議会の松石事務局長さんが、八戸市南郷区の島守盆地全体を屋根のない博物館に見立てた活動について基調講演を行いました。
協議会が行うウオークラリーやホタル鑑賞会などのイベントには、八戸市内外から多くの方が参加し、地域の活性化が図られているそうです。
次に技術紹介として、青森県農村整備課の坂本総括主幹から、「環境公共」を支える7つの“新技術”が紹介されました。
県では、7つの“新技術”を普及させるため、パンフレットを作成しました。
農地での雑草の繁茂を抑制し、維持管理の軽減を図ることを目的に開発された「土壌硬化剤利用畦溝畔(マグホワイト)」です。
雑草の繁茂を抑制するばかりでなく、畦溝畔の崩壊防止や除草剤の散布量の減少などの効果が期待されています。
その他にも、水田の輪作体系を導入するための「地下かんがいシステム」や畑作物の品質向上・収量増加を図る「深暗渠」など、農地への導入が期待される“新技術”も紹介されました。
この「ハイ!アガール」は昨年、農業農村工学会の優秀技術リポート賞を受賞し、全国に取組が紹介されています。
「ハイ!アガール」は、実際にカエルのはい上がり実験を繰り返し、専門家の意見を踏まえて、平成19年度に開発され、生態系の分断を防止するために、県内各地の田んぼなどで利用されています。
青森県西北地域の「環境公共」の取組を紹介している「西北版環境公共通信」です。
「ハイ!アガール」などの環境の保全・再生に関する活動を子どもとの掛け合い風に紹介しています。
西北地域県民局地域農林水産部の工藤主幹からは、これまで地域のため池を舞台に、地域住民による外来魚駆除や管理用階段の設置作業など、環境公共の取組を幅広く行ってきた出来島大堤地区環境公共推進協議会の取組が紹介されました。
出来島大堤地区では、今年度、浚渫土などを利用し、土壌硬化剤「マグホワイト」と混合して排水路の法面の雑草繁茂防止対策を実施しました。
排水路の長い法面の草刈り作業の軽減が期待されています。
工藤主幹からは、「土壌硬化剤は安価ではないことから、コスト縮減のためにも、小段のみに土壌硬化剤を施工し、草刈り作業の効率化を図ってはどうか」との提案がありました。
最後に、本研修会を運営した、NPO法人あおもりふるさと再生機構(AFS)の船越理事長から、同機構の取組が紹介されました。
AFSでは、県内の農山漁村において、地域力の再生を目指して、地域の資源や技術、人材を最大限に活用した活動を積極的に展開しています。
今回の研修会は、参加者から「我々の地域活動でも新技術の取組を行いたいが導入方法を教えていただきたい」などといった要望も聞かれ、盛況のうちに終了しました。
今後、地域での“新技術”の導入が期待されます。
「環境公共学会ホームページ」は、こちら
「青森県の環境公共」は、こちら
「西北地域の環境公共」は、こちら
「特定非営利活動法人あおもりふるさと再生機構(AFS)のホームページ」は、こちら