今回は、砂沢放水路地区環境公共推進協議会の取組を紹介します。
砂沢放水路は砂沢溜池の洪水を土淵堰用水路に吐出すための施設として造成されましたが、供用開始から40年以上経過しており、経年劣化による摩耗や水路底の洗堀による矢板の傾倒等が生じているため、農業水路等長寿命化・防災減災事業を活用し、令和2年度から改修を進めています。
本地区には、青森県レッドデータブックにおける最重要希少野生生物に位置付けられている「ヤリタナゴ」が確認されており、地域住民や関係者による砂沢放水路地区環境公共推進協議会では、ヤリタナゴを保全対象として設定することになりました。
県内でも個体数が少なくなってきたヤリタナゴを保全していくためには、その生態を知っておく必要があることから、環境公共プロフェッショナルであり、砂沢放水路でヤリタナゴの研究を行っている弘前大学農学生命科学部の東教授を招き、6月に現地勉強会を開催しました。
土淵堰用水路に生息するヤリタナゴは、砂沢放水路内に生息している二枚貝に卵を産み付けるという習性を持つため、ヤリタナゴの保全には二枚貝の保全も重要な役割を持っていることが分かりました。
そこで、協議会では工事に先立ち、12月9~10日の2日間、水路に生息している二枚貝を保護する活動を行いました。
当日は晴天にも恵まれ、協議会会員をはじめ、東教授や大学生を含め約20人が参加し、今年度工事区間の200mについて移動作業を行いました。
二枚貝は放水路底の泥面から10~20㎝程度の深さに埋まっており、水路全体を満遍なく調査するために、バックホウで土砂ごと放水路からすくい上げ、地上で土砂の中から二枚貝を探す方法と、放水路内でたも網を用いて探す方法で作業を行いました。
選別された二枚貝は砂や砂利を入れたコンテナに収め、工事が終わるまでの間、保護することとしています。
本地区では引き続き、環境公共の取組の一つとして、改修工事と並行して地域住民や有識者とともに活動し、多様な生態系の保全に努めていきます。