青森県では「環境公共」の推進に当たり、地場の資源、技術、“人財”を積極的に活用し、地域特性を守り育んでいくこととしています。
県では、地場の資源であるホタテ貝殻が混合された「貝殻入りアスファルト舗装」のコスト面での課題が克服されたことから、これを普及拡大するため、青森市浪岡のりんご園地内の農道整備に積極的に使用することにしました。
平成24年度の工事は、全幅4.0m、有効幅員3.0mの農道で、延長約140mの区間をアスファルト舗装幅3.75m、厚さ5cmで施工し、約70トンのアスファルト混合物(再生密粒度As13Fホタテ貝殻入)を使用しました。
この混合物は、通常のアスファルト混合物と同様の試験を行い、アスファルトとしての基準を満足しているほか、施工性も通常のアスファルトと同様であることから、「青森県認定リサイクル製品」として認定され、県では積極的に使用することとしています。
なお、この混合物には、重量比で約20%のホタテ貝殻が使用されていますので、この工事で、約14トンのホタテ貝殻を使用したことになります。
施工直後の舗装状況です。
舗装表面です。表面に白く見えるのがホタテ貝殻です。
現場で採取した舗装の断面です。白い線状のものがホタテ貝殻です。(目盛は1㎜)
また、施工後のホタテ貝殻入りアスファルト舗装が、従来品と同等の製品であることを確認してもらうために、平成24年11月19日に青森県農林水産部農村整備課、同水産振興課、東青地域管内市町村の担当者とともに、舗装した農道で現地検討会を開催しました。
現地検討会の様子です。
当日は小雨の降るあいにくの天候でしたが、現場を直接見ていただき、従来品と同等の仕上がりであることを確認しました。
参加者全員で記念撮影しました。
さらに、ホタテ貝殻入りアスファルト舗装の普及に向けた意識啓発を図るため、東青地域管内市町村及び舗装業者を対象に、平成24年12月18日にホタテ貝殻入りアスファルト混合物の製造とホタテ貝殻の原料を供給している事業者を講師に招いて、研修会を開催しました。
研修会の様子です。
研修会では、混合物開発の経緯や、試験施工の実績から追跡調査結果などの報告があり、ホタテ貝殻入りアスファルト舗装は従来品と同等の性能であることを参加者に理解していただきました。
県では、青森市浪岡のりんご園地内の農道工事で、平成25年度から27年度までの3年間で、15,000mの舗装工事を実施する予定としています。
年間5,000mの舗装工事を実施した場合、ホタテ貝殻の利用量は400トン、3年間では1,200トンの利用が見込まれます。
むつ湾では年間5万トンのホタテ貝殻が発生していますが、むつ湾周辺市町村をはじめ、県内市町村がホタテ貝殻入りアスファルト舗装に積極的に取り組めば、相当量のホタテ貝殻が有効利用されると期待されます。
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