ミズオオバコ移植活動

福島地区では、平成28年度から農地の汎用化と農作業の効率化を目的に、用排水路や暗渠排水を整備する事業を実施しており、環境公共の取組として、ミズオオバコという水草を移植、保全する活動をしています。

この水草は改修予定の排水路に群生している希少な植物で、既設利用の排水路や近隣にある農村公園の池に移植を進めています。

ミズオオバコとは比較的浅い水域に育あつ水草で、かつては水田に多く見られるものでした。しかし、近年は水田環境の変化もあって生息数は激減しており、環境省では絶滅危惧Ⅱ種として指定しています。

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          【ミズオオバコの花】

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         【ミズオオバコの果実】


ミズオオバコの花は、薄紫色が混じった白色で花弁は3枚あります。果実1房には種200~300粒が入っていて、果実は熟すると破裂して種を散布します。花は8月下旬に開花し、9月中頃まで見ること
ができます。

平成28年度に1回目の移植活動を実施し、今年度は、その後のモニタリングと反省を踏まえた2回目の移植活動を10月18日に実施しました。今回の移植活動には、環境公共プロフェッショナルの奈良岡隆樹氏と協議会9名が参加しました。

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       【移植活動について説明】

昨年は平成28年10月27日にミズオオバコの移植活動を実施し、既設利用排水路と近隣にある農村公園の池の2箇所に移植をしました。その後にモニタリングをしたところ、既設利用排水路側には多くのミズオオバコの繁茂がみられました。これまでに定着してなかった範囲でも繁茂したことから、移植の効果はあったものと考えています。

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       【ミズオオバコの開花状況】

環境公共プロフェッショナルの奈良岡氏によると、今年は大量に花が咲く当たり年で、移植により範囲が拡大したこともあり、昨年よりずっと多くの花が確認できたそうです。

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    【農村公園の池を観察中の奈良岡氏】

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       【H28の移植で使用した袋】

一方、こちらは排水路と同時に移植をした農村公園の池の様子ですが、ミズオオバコの姿は見られませんでした。袋の中に土と一緒に果実種)を入れましたが、発芽した形跡が確認できませんでした。原因として池の水質や流れの悪さ、種を袋に入れた土に深く入れすぎた等が考えられました。

今年の農村公園の池への移植は、奈良岡氏の指導により改善を図るため、果実(種)のみを蒔いたり、土壌に浅く埋めたりする等の新しい手法も試みました。排水路側の移植方法は昨年と同様で、果
実(種)が流されないよう麻袋に入れて移植しました。

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    【H29 農村公園の池での移植風景】

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     【H29 既設排水路への移植風景】

今後の協議会の活動は、ミズオオバコの移植とモニタリングを継続していくこととしており、同時に池の水質改善に向けた取組も行う予定です。

環境公共学会HPはこちらから
http://www.npo-afs.jp/kankyokoukyo-gakkai/