「環境公共推進プロジェクト(下北の農・林・水を体験するバスツアー)」

平成29年10月15日に下北の農・林・水を体験するバスツアーを開催し、むつ市内の小学生とその保護者合わせて29名が参加しました。
出発にあたり、参加者に対して下北地域県民局地域農林水産部對馬部長から、「農林水産部では食べ物を作るために様々な仕事をしていて、今日はその一部を体験しながら学んでもらう行程となっているので、私たちの周りでこんなことをしているんだよと家族や友達に教えてあげられるぐらいになって帰ってほしい」と挨拶がありました。

バスツアー最初の体験場所は東通村森林組合です。ここでは、森林の持つ6つの役割として、①水を貯えきれいにする働き、②山が崩れるのを防ぐ働き、③木材を生産する働き、④生活環境を快適にする働き、⑤地球温暖化を防止する働き、⑥動植物の生活の場としての働き)について県民局林業振興課及び森林組合の職員から講義をうけ、東通村森林組合の製材施設などの見学とコース
ター製作を行いました。

コースターづくりでは、約8cm四方のヒバ材を一生懸命にやすりがけをし、皆さん、満足のいくものが出来上がりました。最後にとってもかわいい焼印も押してもらいました。

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            【コースターづくり】


二つ目は、参加者の皆さんが最も楽しみにしていたそば打ち体験です。

今回は東通村産のそばの実を粉にしたそば粉100%の十割そばを作ります。
そば処田やで日頃そばを打っている方などが講師となり、そばの実ができるまでの成長過程を説明した後、実演を交えながら丁寧にそば打ちを教えていました。

そば粉にお湯や水を混ぜながらこねていきますが、時間がたつにつれどんどん水分が飛んでしまう
ため、うまく作るにはなるべく時間をかけずにこねるのがコツのようです。
それぞれが悪戦苦闘しながら、無事にそば打ち体験を終えることができました。

打ったそばは、そのまま昼食となります。みんなうまくできたかな? 満足のいく出来栄えでなかった
人もいたようですが、とてもおいしくできたようです。

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           【そば打ち体験】

お昼ご飯を終えた後は、県農林水産部が進めている「環境公共」について学びました。

青森県では環境を「公共財」として位置づけ、地域の協働を促進しながら、農林水産業農山漁村の基盤づくりのための「投資」を通じて環境保全を図ることを「環境公共」と呼んで積極的に進めています。

環境といってもいろんな環境があり、環境公共の言葉のもととなったのは健全な水の循環を守る環境です。地球上の水は、山に降った雨は川に流れ、川の水は米や野菜作りに使われ、そして、海へと流れていきます。海に流れ込んだ水は蒸発して雲になって、また山に雨を降らせます。このように水は、形を変えたり、場所を変えたりしながら、山から海までを繰り返し回っています。これを水の循環といいます。

この山から川そして海へとつなぐ、緑豊かな水の環が守られ、きれいな水を次から次へとバトンタッチして引き継いでいくことで、農林水産業、そして私たちの生活が成り立っていることを説明しましたが、むずかしかったかな?

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            【環境公共学習】

午後は、尻屋岬港で漁場整備について学習しました。

現場では、ウスメバルの稚魚や幼魚をはじめとした魚が安心して暮らせるようにするためのコンク
リート製のブロックやコンブなどの海藻が生えるよう海中に投入する石材を見学し、コンブなどの海藻は、魚やナマコ、ウニなどのえさになるなど、その役割について理解を深めていました。

自分と同じくらいの大きさの石材をこどもたちが動かそうと頑張っていましたが、200㎏以上の重さの石材はびくともしませんでした。


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         【重さ200以上の石材】

最後は、大畑川のサケの簗場(やなば)を見ました。

この日かかったサケを水槽に移して観察させてもらいました。川から水槽に移されたサケはとても元気で、近くで見ようとしていた子どもたちに水しぶきを浴びせ、水をかけられた子どもたちはこの日一番の歓声(悲鳴?)を上げていました。水槽には、オスとメスが入れられ、見た目が大きく違うことから子どもたちも興味津々で観察していました。

簗場で捕まえられたサケは大畑町漁協のさけますふ化場へ運ばれます。ここでは、4年後に戻ってくるサケの稚魚を放流するための仕事をしており、昨年度に放流した稚魚はおよそ200万匹となっています。


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          【サケとのふれあい】

今回のバスツアーでは、農・林・水の体験を通じて県の提唱している環境公共の取組について学
んでもらいました。
境公共の考え方は、少しだけ難しかったかもしれませんが取組を進めるうえで欠かせない健全な水循環を守るためにはどういったことが必要なのか身をもって学ぶことができたのではないでしょうか。

ツアー終了後に記入してもらったアンケートでは、子どもたちはそば打ち体験とサケの簗場見学が、保護者の皆さんはそば打ち体験が最も印象に残ったようです。

また、今回のバスツアーで体験した取組についてもおおむね理解していただけたようで、農林水産業に携わるものとして、参加した皆さんから取組の輪が広がっていくことを願っています。

皆さん、お疲れさまでした。

環境公共学会のHPはこちら
http://www.npo-afs.jp/kankyokoukyo-gakkai/