地域資源であるもみ殻や木炭チップを活用した地下かんがいシステムの整備

 青森県では、環境公共の取組の1つとして、農林水産業公共工事において、間伐材やホタテ貝殻などの地域資源の積極的な活用に努めています。
 こうした中で、水土里ネット十三湖では、平成22年度に、国の補助事業を活用し、津軽平野北部にある中泊町の水田約4ヘクタールで、地域資源を活用した地下かんがいシステム「FOEAS(フォアス)」を整備したので、その内容を紹介します。
イメージ 1
 
 「FOEAS」とは、独立行政法人・農研機構とパディ研究所が共同開発したシステムで、地下に高密度に埋設された管路網により、水田の水位を50cm程度自由にコントロールできます。
 水田の排水性を高めるとともに、作物に最適な地下水位を維持できることから、作物の増収や品質の向上が期待されています。
 
 水土里ネット十三湖では、地元農家と相談のうえ、埋設された管のまわりの被覆材として、地元で発生した米のもみ殻と、地元津軽里山から切り出したナラやブナを原料とした木炭チップを使用することとしました。
 管の被覆材として、もみ殻を使った施工の様子です。
イメージ 4イメージ 5
 労力も少なく、非常にスピーディーな施工がFOEASの“売り”です。
 
 完成後の状況です。
イメージ 2イメージ 3
 排水の際は、もみ殻を通して暗渠管に水が集まり排水されます。また、かんがいの際は、暗渠管から上方向に水が供給され、もみ殻を通じて、じわじわと水が浸透していきます。
 
 こちらは、地元産のナラやブナから作られた木炭チップです。
イメージ 6イメージ 7
 実は、この木炭チップ、環境公共学会員でもあり、木炭の製造などを手掛ける合同会社ツリーワークの代表社員を務める、中泊町の佐々木嘉幸さんらに作っていただきました。
 佐々木さんの木炭は、土窯でゆっくりと時間を掛けながら丹念に作られるため、割れにくく丈夫なことで知られています。住宅の調湿や畑の土壌改良などに良く使われているようです。
 
 木炭チップを管の被覆材として使用すると、このような断面になります。
イメージ 8
 木炭チップを管の被覆材に利用する例は、金額面の課題から全国的にも少ないようですが、耐用性などで優れており、今後の活用が期待されています。
 
イメージ 9
 
「環境公共学会ホームページ」は、こちら