黒石市大川原地内における地域内交通の取組

 黒石市の大川原集落では、中山間地域等直接支払交付金を活用し、地域内交通の取組を行っています。大川原集落は、黒石市の活動組織の中でも最も東側にある集落で、八甲田連峰のふもとにあります。本集落では、平成12年度から中山間地域等直接支払交付金を活用して、耕作放棄地の発生を抑制する取組や水路、農道の維持管理の活動を行っています。

 

 本集落では、高齢化が進行し、集落内に暮らす約4割が高齢者となっており、自動車免許を返納する方が増加しています。その一方で、市街地から離れていることから、最寄りの病院や学校までが遠く、路線バスはあるものの、早朝・昼前後・夕方の4往復となっており、利便性が悪い状況です。

 

 令和元年度に中山間地域等直接支払交付金の試行的な加算措置として、「地域営農緊急支援試行加算措置」が創設されたことを受け、本集落ではこれを活用し、路線バスを補完する新しい移動手段の確保に向けた取組を始めることとしました。

 

 この取組を行うに当たって、中山間地域等直接支払交付金の活動組織である「大川原中山間地域の会」が主体となり、地域の特性や地域住民のニーズに合った運行形態とするための検討や、集落内の住民や路線バスの運行事業者、その他の交通事業者等との協議を重ねた結果、タクシー会社への業務委託として行うこととなりました。

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話し合いの様子

 大川原中山間地域の会では、運行ルートや運行便数、運行ダイヤを検討し、タクシーを実際に運行させる実証実験を実施しました。実証実験の内容は以下のとおりです。

1 運行期間 令和2年1月20日~令和2年3月19日(毎日運行)

2 運行便数 2便/日(往路1便、復路1便)

3 運  賃 大人100円、小学生、障害者等は半額、未就学児は無料

4 乗車できる者 大川原・黒森に住所があり、利用者証を有する者

5 経路 

(往路)大川原温泉(10:00発)→黒森→ちとせ交番前→黒石市役所前→黒石駅前→黒石病院前→アクロスプラザ黒石(10:40着)

(復路)アクロスプラザ黒石(13:00発)→黒石病院前→黒石駅前→黒石市役所前→ちとせ交番前→黒森→大川原温泉(13:40着)

6 利用方法 

①タクシーの時刻表に合わせて乗車したい停留所で乗車

②乗車時、運転手に「大川原地区線タクシー利用者証」を提示し、降りたい停留所を連絡

③利用料金を運転手へ支払い、下車

実証実験の結果、乗車人数の実績は以下のとおりとなりました。

(1)1月 19人

(2)2月 21人

(3)3月  7人

 計    47人

実証実験の結果、利用した方から出された意見は、以下のとおりです。

・停車場所を追加してもよい。

・病院の時間に合わせたダイヤにすると、便利になると思う。

 

 令和2年度からは、中山間地域等直接支払交付金の「集落機能強化加算」を活用し、昨年度の実証実験の意見を踏まえ、停車場所の追加と週当たりの運行回数を変更し、以下のとおり運行しています。

1 運行期間 令和2年12月25日~令和3年3月29日(週4日運行)

2 運行便数 2便/日(往路1便、復路1便)[昨年度と同様]

3 運  賃 大人100円、小学生、障害者等は半額、未就学児は無料[昨年度と同様]

4 乗車できる者 大川原・黒森に住所があり、利用者証を有する者[昨年度と同様]

5 経路 

(往路)大川原温泉(10:00発)→黒森→東奥信用金庫温湯支店前(追加)→ちとせ交番前→黒石市役所前→黒石駅前→黒石病院前→アクロスプラザ黒石(10:40着)

(復路)アクロスプラザ黒石(13:00発)→黒石病院前→黒石駅前→黒石市役所前→ちとせ交番前→東奥信用金庫温湯支店前(追加)→黒森→大川原温泉(13:40着)

6 利用方法  [昨年度と同様]

①タクシーの時刻表に合わせて乗車したい停留所で乗車

②乗車時、運転手に「大川原地区線タクシー利用者証」を提示し、降りたい停留所を連絡

③利用料金を運転手へ支払い、下車

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大川原地区線タクシー

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タクシーの停留所(黒石駅前)

 本集落では、令和3年度以降も引き続き、地域内交通の取組を継続していくこととしています。

 なお、ブログに掲載した写真は、黒石市役所から提供していただきました。ありがとうございました。