~冬に備えて~(牧場からの秋の便り)

 つがる市(屏風山地区・牛潟地区)では、平成29年度から草地畜産基盤整備事業により公共牧場の整備が進められています。現在までに、牧草地を新たに2.9ha造成と既存の草地の更新を行った結果、生産性を大幅に高めることができました。

 また、草地を効率的に利用するための牧区の再編や、牛を追い込む施設の整備により、放牧牛にとっても牧場管理者側にとっても、より快適な飼養環境が整いました。

 これらの牧場整備は、現況の景観に配慮しながら、その保持・保全に努めた形で進めており、環境公共のテーマの一つである「農林水産業が支える自然・景観・文化の保全・継承」につながります。

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新たに造成した牧草地

 秋の深まりを感じる今日この頃。牧場では今年最後となる牛の衛生検査が9月末に実施されました。11月下旬から、放牧牛は一斉にそれぞれの農家さんの牛舎へと帰る(いわゆる「退牧する」)ことになります。

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衛生検査風景

(つがる北部地区環境公共推進協議会が主体となり、畜産組合・生産者・県民局等が連携。放牧牛を追い込み施設に集め、牛体にダニを防除する薬剤を塗布したり、獣医師が採血による健康検査を実施。今年は5月~9月にかけて計7回。)

 

「牛は、春の訪れに合わせて放牧し、冬が訪れる前に退牧させ、公共牧場を後にする・・・」 

 これまではずっとその繰り返しでした。

 でも、来年の冬からは違います。今年度から事業で『冬期預託施設』の整備に着手しており、冬期間に牛を飼うための牛舎が今年度中に完成する予定となっています。この施設では、100頭の繁殖雌牛を飼養することが可能で、農家さんが希望すれば、冬期間も継続して公共牧場に牛を預けることができるようになります。

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冬期預託施設の建設風景(10月下旬)


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あと半月で牧場を去る牛たち。さて来年は?(10月下旬)

  このように年間を通じて牛を預けられる、いわゆる『周年預託』が可能な牧場の存在は、手狭な牛舎で牛を増やせなかったり、労働力不足に悩む農家さんの経営を助けることにつながります。

 事業が完了する令和3年度に向けて、今後も公共牧場の機能強化を進め、地域の肉用牛振興にとってなくてはならない『新しい形の公共牧場』へと変化していきます。