この学習会は、今年の2月に設立された“小泊海域漁港漁場環境公共推進協議会”が企画したもので、平成25年度に地元の漁業協同組合や小泊漁港の工事関係者、青森県、中泊町が連携して開催された学習会に続き2回目となります。
学習会は、次世代を担う子供たちに青森県が推進している「環境公共」の考え方に沿って、大きく分けて2つの内容について学んでもらうことを目的としています。
1つ目は、“自分の住んでいる小泊地区の沿岸域で獲れる魚や貝、海藻を、実際に目で見て、手で触れてもらい、それぞれの特徴やどのように生息しているかを知ってもらうこと。”
2つ目は、“漁師さんたちの仕事場の1つである漁港とその漁港に隣接する施設は何のためにあるのか。自分たちの生活とどのように関連して、どのようにして造られてきたのかを知ってもらうこと。”
それでは、学習会の様子を紹介します。
当日は、朝から気温が冷え込み強い風に乗って霰(あられ)も降るなど、子供も大人も防寒着を着込むような寒空でした。
【寒くても元気にあいさつ!】
小泊小学校からスクールバスで、小泊漁港(下前地区)の荷捌所に子供たちがやってきました。
最初の学習は「小泊沿岸域で獲れる魚や貝、海藻の観察と生態の説明」です。
そのあと「それでは、みなさん魚や貝に触ってみてください!」の声がかかると、子供たちは思い思いの水槽めがけて駆け寄り、「水つめてー!」、「アワビゲーット!」、「ナマコぬるぬるだー。」など歓声があがっていました。
【アワビとれたー!】
子供たちの手のひらより大きいアワビ。活きがよく元気に動いています。
子供たちは、手触りや大きさ、動き方に注目してみていましたが、大人たちは「このサザエめそんだぁ(おいしそうだ)、アワビも一緒にバーベキューやれば、酒ッコ進むべなぁ。」などと、生き物の生態より、食味のほうが気になっていたかも(笑)
すると、つかまれたイカは「放しやがれ!」といわんばかりに、水を勢いよく吹いて応戦です。
そこからは、みんな我先にとイカをつかんでは、水しぶきが飛び交うというすごい光景に・・・。
【イカ「くらえ!ブシャー!!」】
水を浴びちゃったみんな、風邪ひかなかったかな??
【こっちはイカじゃなく、タコよ。】
実際に生きた魚や貝に触れた子供たちは、楽しいハプニングの中で生態も学べ、とってもいい笑顔でした。
次に、魚・貝類の観察を終えた子供たちは、荷捌所から歩いてすぐの場所にある「すくすくしたまえ館」に移動し、この学習会のもう1つのテーマ、「漁港の役割」などについて勉強します。
はじめに、この学習会を企画した“小泊海域漁港漁場環境公共推進協議会”の会長である小泊漁協組合長より、あいさつとこれまでの小泊地域での漁業について、ためになるお話がありました。
漁港が今の形に出来上がる前の漁のお話や、近年の漁業で中心となっている魚の話など、とても興味深いものでした。
【会長のお話、難しかったかな?】
ここからは、「漁港の役割」のお話。
県西北地方漁港漁場整備事務所の方から、小泊漁港下前地区を例に漁港にあるいろんな施設の役割について説明がありました。
漁港にある施設により、漁師のみなさんの仕事がしやすくなっているのはもちろん、防波堤で、漁港の近くに住んでいるみんなの家なども守られていることがわかりました。
また、漁港の整備のほかにも、環境整備事業として造成された公園やグランド、下水道のお話もあって、漁師のみなさんとその周りのみんなの身近にあるものが整備されていることがわかりました。
【漁港っていろいろ役割があるんだね。】
そのあとは、現在、防波堤などの工事を行っている齋勝建設(株)の工事担当者から、防波堤ができるまでの工事について説明がありました。
防波堤をつくるには、ダイバーさんが自分と同じくらいの大きさの岩を海の中で動かしたり、重さ2,000トンもある“ケーソン”という大きなコンクリートの箱を作って据え付けしたりと、想像できないような工事が必要だとわかりました。
子供たちは、「防波堤は何メートルあるんですか?」とか、「ダイバーさんは、何人くらいで作業するの?」など、いろんな質問を担当の方に投げかけて、中には「防波堤って、全部できるまで何年かかるの?」という質問をする子供もいて、質問のレベルの高さにびっくりしました。(その年ごとに、決められた予算の中で工事をするので、何年かかるとははっきりわかりませんが、1年間でおおよそ30~40メートルの防波堤が造っているそうです。)
【今日はありがとうございました!】
学習会がすべて終わり、子供たちはいろんなことを勉強できました。
小泊小学校5年生のみんな、本当におつかれさまでした。
小泊海域漁港漁場環境公共推進協議会では、今後もこのような学習会を続けていくそうです。
学習会に参加してくれた子供たちが、環境公共の取組に共感してくれたらうれしく思います。
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