NPO法人あおもりふるさと再生機構では国の交付金を活用し、弘前市鬼沢地区で、地域に伝わる「鬼神伝説」や、百姓たちの危機を救った義民藤田民次郎の逸話などの地域資源を活用した地域の活性化に取り組んでいます。
舞台となっている鬼沢地区は、秀峰岩木山の麓、リンゴとお米の生産が盛んな農村地域です。
10月3日には、将来のグリーン・ツーリズムや、伝説などを題材とした創作演劇の開催に向け、旅行会社やイベント企画会社の社員を招いて散策会を行いました。
主催者の船越理事長です。
船越理事長からは「鬼沢地区に存在する地域資源の記録を何とか将来に残したい。今後の取組の進め方について専門家からの意見をいただき検討したい。」とあいさつがありました。
その後、散策会の参加者は、鬼の好物と伝えられ、古くから栽培されてきたニンニクの植え付けを体験しました。
グリーン・ツーリズムでは、ニンニクの植え付けのほか、収穫体験も予定されています。
参加者は、紅葉が進む岩木山を望む農園で額に汗をかきながら作業を行いました。
ニンニクの植え付け作業は機械で行うこともできますが、人力の方が確実で速いそうです。
場所を移し、「鬼沢の会」の藤田会長さんから鬼沢地区の歴史と伝説について説明がありました。
藤田会長のような鬼沢の歴史を語ることができる人“財”の育成も課題となっています。
お昼には、「鬼沢の会」会員である花松さんら、地域のおかあさん方が作った、地元ならではの手料理が振る舞われました。
しその葉で巻いた“おはぎ”
しその香りと甘さを抑えたあんこがマッチしています。
津軽伝統料理の“けの汁”
地元の食材がたっぷり入っています。
そして、工夫を凝らした数々の“漬け物”
まさに漬け物バイキングです。
この他にも地元の食材を使ったご飯やお菓子も振る舞われ、ついつい食べ過ぎてしまいました。
昼食後は、魅力ある地域資源の散策です。
その昔、鬼が一夜にして掘ったと伝えられる“逆堰”です。
緩やかな道路沿いにあるこの水路、目の錯覚によって水が下から上へ流れているように見えるそうです。この日、水路に水はありませんでしたが、夏場には、“下から上へ”流れる水路を見ることができます。水は写真の手前から奥へ流れます。
この水路は今でも地域のお米づくりのために使われています。
そして、鬼が堰を掘るために使ったとされる農具が奉納されているのが「鬼神社」です。
毎年冬には厄払いや五穀豊穣を祈願する裸参りの舞台となります。
地域の農業に欠かすことのできない「奈良寛ため池」です。
鬼沢楢木土地改良区の神事務局長さんからため池の歴史について説明がありました。
昭和9年に当時の村長、奈良寛一郎さんが先頭となり造られたため池です。
大きな河川が近くにない鬼沢地区において、岩木山からの雪融け水を貯える貴重な水源として利用されています。
散策会では、この他にも神社など多くの名所を巡りました。
散策会終了後には、地域資源の活用方策やグリーン・ツーリズムでの集客方法について活発な意見交換が行われました。
集落内のアクセス道路の整備や施設の管理、観光客への見せ方などについて課題が指摘されましたが、今後、検討会を重ね、魅力あるグリーン・ツーリズムの開催が期待されます。
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