環境公共推進プロジェクト~山・川・海の恵みに感謝!水と大地の探検隊~

 令和2年9月24日(木)に中泊町立小泊小学校5年生25名を対象にした環境公共推進プロジェクト「山・川・海の恵みに感謝!水と大地の探検隊」が開催されました。

 このイベントは、平成30年度から実施しており、体験学習を通じて健全な水循環を守り、豊かな地域資源を将来に引き継ぐことの大切さを理解してもらうことを目的としています。

 開会式を終えバスに乗り、最初に向かった場所は、芦野頭首工です。

 芦野頭首工は、農業用水を取水するため、岩木川を堰き止めて水位を上昇させ、水路へ流す施設です。子供達が住んでいる地域の農業用水は、岩木川に設置した芦野頭首工を水源としていることについて学びました。

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開会式の様子(左),芦野頭首工の説明の様子(右)

 次は、芦野頭首工で取水した水を利用している武田地区へ移動し、用水路と水田の水管理について学びました。

 武田地区の用水は、地下に埋められたパイプで送られており、ポンプを操作するだけで一度に多くの水田で水の調節が可能です。また、武田地区では、人が水田の見回りに行かなくても適切に水管理をしてくれる自動給水栓を導入しています。

 子供たちは見慣れない水路や装置の説明を受け、たくさん質問していました。

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武田地区ほ場整備の説明の様子(左),自動給水栓の説明の様子(右)

 次は、中泊町の立地特性を生かした風力発電の仕組みについて学んだ後、五所川原十三漁港へ向かい、漁港施設(魚礁)の役割について学びました。

 魚礁は、魚の成長を手助けし、魚を増やすために人工的に整備した場所で、設置することで魚のエサ場や隠れ家となります。子供達は、高さ約4m、幅約9mの実物の魚礁を見学し、その大きさに驚いていました。

 また、水循環システムの説明を受け、普段利用している水がどのように自分たちのところへ届くのかについて学びました。

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魚礁の説明の様子(左),水循環システムの説明の様子(右)

 ここで午前の部は終了です。

 昼食には地元中泊町水産物を実食し、地産地消についておいしく学び、午後は最後の体験場所、若宮機場へ向かいました。

 まずは、森林の役割について実験を通して学びました。

 森林内土壌と、砂、土の3つの模型実験では、森林は保水能力が高いことを体験し、水の浄化実験では、泥水を森林内土壌へ流すと、きれいな水となって流れてくるところを見て、子供達は「すごい!」と前のめりになって注目していました。

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保水力実験の様子(左),浄化実験の様子(右)

 次に、若宮機場を見学し、住んでいる地区の農作業の歴史とともに機場の必要性について学びました。

 若宮機場は大きく2つの働きがあります。1つは、十三湖地区は低平地であるため、ポンプを使用し水位の低いところから高いところ、十三湖へ強制的に排水し農地の水害を防いでいます。もう1つは、排水路から水をためてパイプラインへ流し、農業用水として再利用しています。

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若宮機場説明・見学の様子

 最後は、排水路に生息する魚類のつかみ取り体験です。

 子供達は、田んぼの生き物図鑑と捕った魚とを見比べながらじっくりと観察し、魚が棲める環境を保全することの大切さを楽しく学びました。

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捕った魚と図鑑とを見比べる様子(左),魚類のつかみ取り体験の様子(右)

 今回のイベントを通じて、自分たちの住んでる地域の環境公共の取り組み、頭首工などの農業水利施設の役割や水循環についてたくさん学んでくれたと思います。

 今回学んだことや感じたことを忘れずに、地域の豊かな農林水産資源の恵みを大切にし続けてくれることを願います。

  小泊小学校の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

~冬に備えて~(牧場からの秋の便り)

 つがる市(屏風山地区・牛潟地区)では、平成29年度から草地畜産基盤整備事業により公共牧場の整備が進められています。現在までに、牧草地を新たに2.9ha造成と既存の草地の更新を行った結果、生産性を大幅に高めることができました。

 また、草地を効率的に利用するための牧区の再編や、牛を追い込む施設の整備により、放牧牛にとっても牧場管理者側にとっても、より快適な飼養環境が整いました。

 これらの牧場整備は、現況の景観に配慮しながら、その保持・保全に努めた形で進めており、環境公共のテーマの一つである「農林水産業が支える自然・景観・文化の保全・継承」につながります。

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新たに造成した牧草地

 秋の深まりを感じる今日この頃。牧場では今年最後となる牛の衛生検査が9月末に実施されました。11月下旬から、放牧牛は一斉にそれぞれの農家さんの牛舎へと帰る(いわゆる「退牧する」)ことになります。

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衛生検査風景

(つがる北部地区環境公共推進協議会が主体となり、畜産組合・生産者・県民局等が連携。放牧牛を追い込み施設に集め、牛体にダニを防除する薬剤を塗布したり、獣医師が採血による健康検査を実施。今年は5月~9月にかけて計7回。)

 

「牛は、春の訪れに合わせて放牧し、冬が訪れる前に退牧させ、公共牧場を後にする・・・」 

 これまではずっとその繰り返しでした。

 でも、来年の冬からは違います。今年度から事業で『冬期預託施設』の整備に着手しており、冬期間に牛を飼うための牛舎が今年度中に完成する予定となっています。この施設では、100頭の繁殖雌牛を飼養することが可能で、農家さんが希望すれば、冬期間も継続して公共牧場に牛を預けることができるようになります。

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冬期預託施設の建設風景(10月下旬)


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あと半月で牧場を去る牛たち。さて来年は?(10月下旬)

  このように年間を通じて牛を預けられる、いわゆる『周年預託』が可能な牧場の存在は、手狭な牛舎で牛を増やせなかったり、労働力不足に悩む農家さんの経営を助けることにつながります。

 事業が完了する令和3年度に向けて、今後も公共牧場の機能強化を進め、地域の肉用牛振興にとってなくてはならない『新しい形の公共牧場』へと変化していきます。

海岸防災林:「向田地区」で間伐材に守られるクロマツの植栽を行いました

 向田地区防災林造成は、むつ湾から吹き込む潮風・風雪被害や風による砂の移動などから、下北半島への大動脈となる国道や鉄道を守ることを目的として、平成21年度から開始され令和2年度で全工程が完了しました。

  当地区の防災林造成は、間伐材を活用した防風工や静砂垣工により、クロマツの苗木が風に耐えられる大きさに成長するまで保護し、長い年月をかけてクロマツの森林を形成するもので、海岸線の「自然景観の保全」や森林による「地球環境の問題への貢献」に繋がる取組です。 

 緑化工により緑あふれる自然景観を保全すると共に、間伐材を活用した静砂垣工を配置することで、循環される森林資源の推進に努めています。

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【植生が消失している状況】

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クロマツを植栽】

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あおもりの農林水産業を体感するバスツアー

 去る10月30日(金)、環境公共学会主催の「あおもりの農林水産業を体感するバスツアー」が三沢市や東北町で開催されたので、その様子をご紹介します。今回のバスツアーには県内各地から15名の応募がありましたが、数日前に2名キャンセルの連絡があり、最終的には13名の参加者となりました。

 これまで、平成24年度からあおもり農村整備広報委員会主催による「食と農を体感するバスツアー」や「世界かんがい施設遺産を巡るバスツアー」を実施してきましたが、環境公共学会主催で、本県農林水産部の公共事業関係課全ての取組を紹介するバスツアーは今回が初めてとなります。

 大型バスでJR七戸十和田駅を9時に出発した後、バスの中で「攻めの農林水産業」と「環境公共」の取組について説明し理解を深めていただいたうえで、それぞれの現場へ向かいました。なお、各現場では上北地域県民局の担当者等が説明を行いました。

 午前中は、農業農村整備事業におけるほ場整備の現場を見学です。土場川地区では、ほ場整備とはどんな事業で、どのような整備をするのか、また、ラムサール条約に登録されている仏沼に隣接した北三沢地区と八幡地区では、どのように環境に配慮して工事を実施したのかなどの説明がありました。

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ほ場整備の取組(土場川地区)

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ほ場整備の取組(北三沢・八幡地区)

 その後、日本一の生産量を誇る「ごぼう」の収穫体験をした後、三沢市漁業協同組合の漁民研修センターへ移動して昼食です。そこでは、青森県産の食材だけで作った「青森づくし弁当」が用意されていました。弁当の中身は、ホタテ、ホッキ貝、田子牛、八戸前沖サバ、ごぼう、海峡サーモン、リンゴ等が入っており、まさに青森づくしでした。みなさん、美味しい美味しいと言って食べていました。

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ごぼう収穫体験

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青森づくし弁当

 午後は、同会場で三沢地区水産流通基盤整備事業の沖防波堤の延伸工事など、災害に強い漁港づくりの取組について説明がありました。また、三沢市漁業協同組合からは、東日本大震災からの復興や「三沢昼いか」ブランド化の取組等について説明がありました。実は「青森づくし弁当」には、「三沢昼いか」もちゃんと入っていました。

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漁港の取組(三沢地区)

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三沢市漁業協同組合の取組

 当日は気温が低かったので、先に同会場で海岸防災林の取組について説明し、その後、現地を見学してもらいました。三沢市からおいらせ町に続く海岸防災林は、東日本大震災で130ha以上のクロイマツが消失したことから、各地で地元住民等が参加した復興植樹活動が行われ現在の姿になっているそうです。

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海岸防災林の取組(三沢市~おいらせ町)

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三沢市営牧場

 最後に三沢市営牧場に移動し、公共牧場の役割や草地畜産基盤整備事業の取組について説明がありました。説明の中で、青森県の農業産出額における畜産の占める割合が約3割で最も高かったことに皆驚いていました。また、普段は関係者以外立入禁止の場所なので、三沢市営牧場の見学は貴重な体験となったようです。

 その後、JR七戸十和田駅へ戻り、予定どおり16時に解散することができました。特にトラブルもなく、無事に実施できたのは良かったです。参加者の方々はとても満足した様子で、バス降車時に「また来年も参加したいです。」との声を頂きました。

 また、参加者全員に実施したアンケートでは、「青森県が頑張っていることを体感できた。」、「専門家の説明を聞けるのは良い機会だ。」、「今まで知らなかった事を見聞きして世界が広がりました。」、「大変勉強になりました。」などの意見が数多く寄せられました。

 環境公共学会では、一般県民の方々に「環境公共」や農林水産部の取組をPRするため、今後もバスツアーの企画を継続することとしています。今回は、「あおもりの農林水産業を体感するバスツアー」にご参加いただき、ありがとうございました。

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三沢市漁業協同組合にて記念撮影

東青地区緑の少年団交流集会

  令和2年10月4日(日)、外ヶ浜町おぐにふるさと体験館で「東青地区緑の少年団交流集会」が開催されました。

 この交流集会は、ヒノキあすなろ緑の少年団(市町村名)と今別緑の少年団(今別町)の2団体の児童21名が参加し、森林や林業、水循環の仕組みなどについて学習・体験してもらう機会として行われました。

 

 まずはじめに、林業振興課の逢坂林務調整監からの開会あいさつと同課職員からの日程等の説明がありました。

 その後、班編成のため、団員全員に異なる種類の植物の葉一枚が配られ、同じ種類の葉をもつ団員同士で班が組まれました。

 班編成の後は、各班対抗で思いつく木の名前を紙に記入し、最後にどれだけ木の名前が出たかを代表者が発表して、数を競い合うゲームを行いました。

 続いて、森林や林業にまつわるクイズすごろくゲームが行わました。一番早くゴールするために皆さん真剣にクイズに答えていました。最初の方は、初対面のため慣れない様子でしたが、ゲームが進んでいくにつれ、だいぶ打ち解けた様子でした。

  その後は、農村計画課の職員から、水循環に関する説明があり、水が自然の中を循環し、やがて私たちのもとへ帰ってくるという話に耳を傾けていました。

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クイズすごろくゲームの様子(左),水循環の説明を聞く様子(右)

 昼食後は、最後のイベントであるリンゴの枝を活用した木工体験で、ペンとペン立てを製作しました。リンゴの枝先を鉛筆削りでとがらせ、あらかじめあけられた穴にペンを通し、グルーガンやマスキングテープを使い装飾を行いました。みなさん思い思いに自分の作品を仕上げていき、最後はお互いに完成した作品を見せ合っていました。

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ペンを製作している様子(左),少年団全員で記念写真(右)

 今回の交流集会を通じて、少年団の仲間と交流を深めるとともに、青森県の森林や林業、水の大切さについて関心を持っていただけたかと思います。